くらいところから

文学部出身者が、見聞きしたものについて考えたことを書くところ。いつか明るみに出られると信じて。

2020-01-01から1年間の記事一覧

限りなく狂人に近いなんとか【平山夢明:すまじき熱帯】

一般論として、実体験に即しているほど、文章を書く筆はスムーズに進むと思う。 だからこそ僕は、現実離れした描写が、あたかも筆者が体験してきたかのように生々しく描写されている作品に強く惹かれる。 特に、筆者本人が最も狂っているのでは?と思うほど…

自身の片割れのような存在を易々と切り捨てられるか?というお話【倉狩聡:かにみそ】

自分の中に大きな要素として入り込んでしまったものを取り除くのは、相当な苦痛を伴う。 それは、腫瘍が宿主の体から切除されるときに痛みや出血を伴う様子に似ているようにも思う。 そんな存在ができるきっかけは、同じ苦痛を一緒に分け合ったり、長い時間…